技術が果たす役割は大きく変遷
豊かさと寿命の関係
技術の獲得が人口増加の要因
「人口の増加と技術」の項では、世界人口の増加とその要因を見てきました。技術の獲得、これが人口増加を実現させた要因であったわけです。
長寿の実現は人類の普遍的価値
人の命に関し、今度は寿命という視点から考えてみましょう。
この世の中で貴重なものは何か。この問いに対する答えは、人それぞれ、社会それぞれ、そして時代それぞれによって異なります。しかし、人の命が非常に貴重であるという認識は、大凡古今東西を通じて普遍的な感覚であったといえるでしょう。
これまで見てきた人口に関しても、人口の増加は高い出生率と同時に死亡率の低下、すなわち長寿命化を意味します。命を長らえさせることで人口の増加は達成されてきたともいうことができます。
長寿の実現は、秦の始皇帝が不老不死を求めた例を引くまでもなく、人々が求めてやまない普遍的に貴重な価値といっていいのではないでしょうか。
この貴重な価値、人の生命は、産業革命を経て以降急速に長らえてきています。その時々の世界で最も長寿を達成していると考えられる国における女性の平均寿命は、19世紀の半ばまではほぼ35年から45年の間で推移してきました。以降は10年ごとに2.5年のペースでその長さを伸ばし、2000年には80年を超えるに至っています。
このような寿命の伸長の要因としては、人の健康に関する技術の進歩をまずは挙げることができます。すなわち技術は、人の生命を支える上で直接、かつ、非常に大きな貢献をしてきたのです。衛生状態の向上や医療、医薬の供給など人の健康状態の改善は無論のこと、生存に必須となる食料やエネルギーの供給など、貢献してきた技術の具体例は枚挙にいとまがありません。さらにこうした技術は、豊かな国に対してだけでなく貧しい国に対しても大きくその恩典を施し、特に発展途上国での急速な寿命の伸長を可能としました。
人口の増加だけでなく、寿命の延長もまた技術の貢献が大きい要素です。産業革命以降、特に衛生、医療、栄養状態の改善などが人の命を長らえさせてきました。
たとえば、19世紀半ばまでは長寿国での女性の平均寿命はおおよそ35〜45年でしたが、その後10年ごとに数年ずつ伸び、2000年には80年を超える国も出てきています。
寿命が伸びた要因には、薬や医療だけでなく、清潔な飲み水、下水道等のインフラ、ワクチン、予防医療など、生活のあらゆる面での技術の改善があります。
豊かさの実現と技術
経済成長(豊かさの実現)は主に生産性の向上によって達成されます。この生産性の向上を支えるのが種々の技術です。農業や工業における技術の導入はわかりやすい例ですが、それ以外にも管理手法、ビジネスモデル、制度設計なども含まれます。
また、豊かさそのものが、より高度な技術やサービスを導入するための基盤を提供します。技術導入には資本や制度・社会的な信頼などが必要であり、それらを得るためにはある程度の豊かさが前提になることが多いのです。

情報革命と新しい技術導入
現代では、産業技術に加えて「情報伝達技術」の発達が社会変化の主要なドライバーになっています。文字・印刷技術から始まり、ラジオ・テレビ、そしてインターネットへと発展してきたこの系列は、不特定多数への情報拡散を格段に容易にしました。
この流れは、意志決定、世論形成、政策や制度への市民の関与のあり方を変えてきています。同時に、技術利用の在り方、規制、安全性・プライバシー・倫理の問題など、技術そのもの以外の側面が重要性を帯びてきました。
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